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フヅクエ(fuzkue)
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フヅクエ(fuzkue)

音楽を聞かないなんてカッコ悪いから音楽を好きじゃなきゃいけない。 そういう呪縛から解き放たれ、音楽はそれほど好きでも、嫌いでもないものになった。 肌身離さずヘッドホンを持ち歩き、中古レコード屋に行っては盤を掘り漁るのが好きだったのに。最後に買ったレコードはなんだったろう。もう音源を新しく買い求めることもなく、Spotifyさえあれば十分という体たらく。 逆に関心を持つようになったのは静寂だ。 ただし、静寂というのは自分にとって無音ということでもないようだ。そもそも完全に無音の状態を作るのは難しい。なぜなら無音とは空気の振動をゼロにすること。無音室などに入ることでそれを実現できたとしても今度は耳の奥の内耳神経が体内の音をキャッチしてしまい、そこに無音を見出すことはできないだろう。 ジョン・ケージの「4分33秒」という曲がある。演奏の際には楽器を使い、きちんと奏者も出てくるのだが、音をまったく鳴らさず、例えばピアノの場合は奏者は椅子に掛けてただひたすらに楽譜を見つめ、しかるべき時間が経過すると一礼をして立ち去る。つまり、観客は音の鳴らないその場を「聴く」という趣向のもので、
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